「ねぇ、帰ろう」 「えっ」 いきなり、俺のシャツの裾を引っ張り、目で合図する麻美ちゃん。 「あっ、あぁ」 なんだか、俺の方が動揺してしまう。 聞くべきか、聞かざるべきか。 「どうしたの?帰らないの?」 「いやぁ……。うん、帰ろ帰ろ」 頭を大袈裟に横に振り、“さっきのことは気にするな”と、脳に司令を送った。 そうだよ、そうだよ! これから楽しいことが待ってんだからさぁ。 細かいこと気にすんな、俊介! ――自分で自分に喝を入れた。