ボールを追いかけた夏

「ありがとうございました!」

今日の練習は終わり。あまり参加してないからそんなに疲れていない。

「彩乃ー。それ持ってやろうか?」

「なんだ、一翔か。じゃ、お願い」

手に持っていた大量のバットを一部だけ一気に一翔に渡す。大分軽くなった。

「気づかいと言う言葉を彩乃は知らないの.......?」

「だって、持ってくれるって言ったじゃん」

「そうだけど.......。重い.......」

「大丈夫。彩乃が持ってる方が重いから」

「そりゃあ、彩乃が持ってるバットの方が重いけど.......」

「だから、一翔もがんばれ。よし、じゃあ、競争するよ!」

そう言って部室へ向かいダッシュ!足の速さには自信がある。

「え、ちょ、無理!」

「負けた方がアイスおごりね!」

「絶対彩乃が勝つだろ!?」

「当たり前でしょ!?」

「お、鬼ー!!」

一翔も結構速いし、彩乃と同じくらいだけど、その分スタミナがすぐ切れるので長距離走るのは向いてない。

しかも一翔は今バットを持ちながら走っているので.......勝てる!

勝てる事を確信しながら走っていたら部室が見えてきた。あっという間だったな.......。