あぁ、学校に近づくにつれ、
人が多くなっていく。


いつからか、周りの人の目が
気になりだした。

それが周りの事も気にかけられるようには
成長したということなのだろうか。


僕としては、気疲れすることが増え
だんだん周りとのコミュニケーションが
面倒になってしまったのだが。


それでも学校の奴らと
会話を弾ませようとするのは
自分でもよく分からない。


学年の違う奴、
同学年の顔だけ知っている奴が
ずらずらと下駄箱に吸い込まれていく。

彼等から見た僕は
ただの風景の一部にしか過ぎないのに
僕が勝手に気になって避けるように
通っているなんて、
微塵も思っていないだろう。


風景の一部にしか過ぎない脇役が
いっちょ前に意識してんじゃねぇよ

と言われてしまっても仕方ないだろう。


僕も彼らと同じように下駄箱へと向かう。


本当は帰ってしまいたいけれど
そんな勇気は持ち合わせていない。


下駄箱を開けても
どこぞの小説の主人公のように

画鋲が入っていたり
そもそも靴が無くなっていたり
逆にラブレターやプレゼントが
下駄箱から溢れ出すなんてことも無い。


そんなことされても、
どんな反応をするのが正しいのかなんて
僕には分からない。