あたしが向かったのは裏庭の大木。 その木陰に麻耶は座っていた。 ここは麻耶がよく一人でくるところ。 一匹狼の麻耶は、よく一人でいなくなる。 この場所はあたしと麻耶しか知らない。 麻耶 「何か用?」 目を閉じていた麻耶に近づくと、黒の瞳がパチリと開く。 聖愛 「用はないけど…」 麻耶 「そ…」 無表情で無口な麻耶。 今日はいっそう寂しそうに見える。 麻耶 「座れば?」 聖愛 「あ、うん」 麻耶 「尚輝は気づいたか?」 聖愛 「えっ?」 麻耶 「祐希のこと」