「じゃあさ、何で私に優しくするの?何で私に平然と甘い言葉を言えるの?何で私に……」
「由愛……?」
「もう嫌なのっ!!私って単純だから、翔希君の冗談で言った甘い言葉にもドキッとしちゃうし、優しくされたら期待しちゃってもいいのかな、なんて思っちゃうし……っ。そんな自分が嫌なの……っ」
「っ」
「私のこと好きでもないのに……優しくしないで…っ翔希君のバカ……っ!!」
由愛は投げやりにそう言って、走っていった。
「由愛……」
由愛はそんな風考えてたのか。
由愛は俺にドキッとしたりしてくれてたんだ……。
そうだよ、な。
俺、由愛のこと好きじゃないって言ったくせに、今まで優しくしたりしてた。
そりゃ、由愛も混乱するよな。
俺って中途半端で最低な男だ……。
由愛は鈍感だし、ストレートに気持ちを伝えなきゃちゃんと伝わらない。
そんなこと、わかってるのに。
