「相川のことなんだけど……」


やっぱりな。
そうだと思った。


「大希には悪いけど、俺、由愛のこと譲る気ないから」


今まで兄弟仲良くやってきたけど、これだけは譲れねぇ。


「翔希、ちゃんと自分の気持ちに気づいたんだ」


「………は?」


「翔希が相川のこと好きなことぐらい、わかってたよ」


ウソ……マジかよ。


「俺、実は今日相川と話してさ、親友でいようって約束したんだ」


「え……?」


「相川に、『大希君のこと好き“だった”』って言われたから、もう、諦めようと思うんだ」


そんなことが、あったのか。


「悔しいけど……翔希、頑張れよ」


「大希………」


大希は優しく笑った。