【翔希サイド】



「私の家、ここだよ」


由愛が綺麗な一軒家を指さす。


「じゃ、またな」


「うん!わざわざ送ってくれてありがとう!」


由愛の笑顔に胸が高鳴る。


「じゃあな」


俺が家に帰ろうと歩き出したとき。


「……っあ!待って!!」


由愛はそう言うと慌てて家の中に入っていった。


何だ……?


すぐに由愛はまた出てきた。


「はい、これ。服とか髪の毛とか濡れちゃってるから……」


由愛が俺に差し出したのはタオルだった。


「さんきゅ」


「うん、じゃあまた明日ね」


また、借りができちゃったな。


俺は由愛に手を振り、自分の家に帰った。