Kitty love

「別にいいじゃんよ、あんなかわいいコに懐かれるんならさ~」



ゴミを捨てて席に戻ると、横山が懲りずに先ほどの会話の続きを促してくる。

俺はまた、思いきり眉を寄せた。



「どこがいーんだよ。アイツうっとうしいし、なんか変だし」

「毒舌~。そこがいーんじゃん、ちょっと抜けてて天然っぽいとこがさ」

「いや、ちょっとどころじゃねぇから。かなりすっぽ抜けてるから」



言いながら、顔見知りになってからのアイツの奇行を思い出す。

人の顔見るたびツンデレ呼ばわりするし、この前も何もないところでコケてたし、ココアと間違えてコーヒー買ったらしいし、学年違うくせにほぼ毎日来るからかこのクラスの奴らとなぜかなじんでるし。

うん、やっぱアイツ変だ。



「とかなんとか言ってさぁ、実は結構気になってんじゃないの~? るーくん」

「次それ言ったら吊す。」

「辛辣!! デレは?! デレはいずこ?!」

「おまえに見せるデレなんてない。つーか俺はツンデレじゃない」



いつもながらにうっとうしい横山を放置して、机に腕を組んで伏せる。



「え~寝んの~? 起きろよ高原~。お~い琉可く~ん」

「………」



完全に寝る体制に入った俺を横山がおもしろくなさそうにつついてくるけど、こっちも完全無視。つーかその名前で呼ぶなっつってんのに、ほんと懲りない奴だ。

……るか、なんて名前。それすらも女っぽくて、好きじゃない。