Kitty love

「たっかはらー、飲み物買いに行かねー?」

「おー」



休み時間。俺の席まで来た横山の誘いに乗って、1階にある自販機へと向かうべく階段をおりていく。

するとそこに見覚えのある小さな後ろ姿を見つけて、思わず声をかけた。



「あ、爆弾女」

「え? あ、高原せんぱい! と、横山せんぱい!」

「ちーす真白ちゃん」



俺の言葉に反応して振り向いた天然女は、弾んだ声で俺たちの名前を呼ぶ。

しかし次の瞬間には、不満げな表情でこちらを見上げてきた。



「ていうかせんぱいっ、爆弾ってなんですかそれ~!」

「そのまんまの意味だけど?」

「も~っ意地悪だ~!」

「ハッ」



馬鹿にしたように鼻で笑うと、天然女は悔しそうにむーっと顔をしかめる。

そこで俺はなんとなく違和感に気づいて、軽く首をかしげた。



「つーかなんかおまえ、身体ふらふらしてね?」

「へ、そう見えますか? 実はさっきの体育がマラソンで、もーヘトヘトなんですよ~」

「ふーん。じゃあこれやるよ」

「へ? わっ、」



制服のポケットから取り出したものをポンと放り投げると、そいつは危なっかしくもなんとかキャッチした。

自分の手のひらに視線を落とし、目をまるくする。