「……ハルちゃん!」


切ない瞳があたしの心を大きく揺らす。


「どうしたの…雄星?傘は?」


雨の降りやまない空の中、走ってきた彼は

泣いてるように見えた。


「訳あって持ってないんだ。」


そう言って雄星は笑った。

あたしは雄星を傘にいれてあげた。


夏が窓を閉じて秋が来たんだ。


「玲美ちゃんの病院で以来だね…」


「あれは夢だよ…」


「えっ…?」


「今見てる僕が本物。あの日、
ハルちゃんが見てた僕は偽物だよ…。」


アタシはそれを聞いて驚いた。

だって…偽物って何?

本物って何?


じゃあ、どちらでもない雄星はどこ?