もう夜の1時を回っていて家に 帰っても誰も起きていなかった。 暗いリビングで1人ケーキボックスを開けて、 中の『ソレイユ』という名前のついた、 可愛らしいオレンジチーズケーキに ガブリとかじりついた。 「うっ……」 何故かアタシはケーキを 食べながら涙を流していた。 今日、初めてソレイユのケーキが 涙色に染まった甘くて苦い恋の味だと感じた。