僕は何の為に走っているんだ…。

僕の足を動かしたのは彼女のたった一言。


『お願い……助けて…雄星くんっ!!』


それ以降、電話の声は聞こえなくなった。


あれは…確かに何かに

怯える井上さんの声だった。


「ごめん…ハルちゃん…。」


目の前で助けてくれって言ってる人を

見放しには出来ないよ…。


「井上さーんっ!」


僕は祭りの屋台を回り、井上さんの姿を探す。

でもなかなか、井上さんの姿は見えない。


一体どこにいるんだよ…。

日向はどうしたんだよ…。


「井上さーーんっ!返事をしてくれーっ!」