「何だよ、雄星…?」


日向は怠そうに僕の手を振り払った。


「井上さんをこれ以上苦しめないでやってくれ。
彼女、手術を受けるそうなんだ。だから……」


「分かってるよ…お前なんかに言われなくても。玲美は俺の婚約者だから。」


「えっ…!!」


日向は又怠そうに僕の方をチラッと見た。


「おま…っそんな驚くなよ…」


僕は少しだけ笑った。

何でかわからない。


一瞬で日向への敵意を失った。


「それじゃ、俺行くから。」


「あっ…うん。」


僕が慌ててそう言うと

日向は井上さんの病室へと入っていった。