「ハルちゃん…何でなんだよ…」


僕が手を伸ばした空には何も映らない。


ただ、僕が見た現実は

ハルちゃんが日向にキスをする……

そんな苦しい現実だった。


雨に打たれて忘れてしまえ…

泣き出す声もキスをして頬を染めた顔も…。


僕が自分にそう言い聞かせながら歩いて、

1人たどり着いたのは井上さんの病院だった。


ーーーコンコンっ…


病室のドアを叩いて中に入る。


すると、井上さんは泣き出しきそうな

顔をして僕の方を見ていた。