「顔も、身体も元そっくり。おまけに名前まで・・・。悠宇はともって呼んでて元を思い出したりしないの?」


「思い出すよ。俺は高一のときからあいつを知ってたから今はどうこうないけど・・・初めて会ったときは元だと思った。最近はともの名前を呼ぶたびにアイツの顔が思い浮かぶ。」


悠宇はそう言って夜空を見た。


「性格は似てないんだよね。アイツは人懐っこくて笑顔が似合うのに冷血王子はほんと冷血って感じで・・・」


「ほんとはそんなことないけど?ともはアイツほどに良いヤツだけど。笑った顔なんか元そっくり・・・」


笑った顔・・・


ふと、脳裏に浮かんだあの笑顔。


『でも、初めてだわ。こんなに喋れる女なんて。』


あの冷血王子でもこんな顔するんだと思った。


「・・・確かに、良いヤツかも、ね。」


あっという間に家についた。

でも、電気がついていないし、人がいる気配もしない。


「大丈夫か?」


「え?あっ、大丈夫だよ!慣れてるし!・・・送ってくれてありがと!じゃね〜」


あたしは悠宇の返事を聞く前に玄関の扉を開け家に入った。


慣れてるでもほんとは、寂しいんだけどね。