教室に戻ると、麻央と桃香が何やらニヤニヤしていた。
「・・・なに?」
あたしは口の周りのベタベタをティッシュで拭き取った。
「ヒューヒュー♡そうだよ!忘れてた!美和には悠宇くんがいたんだよねーさっきのお家デートの約束?」
桃香はあたしの横腹をつついた。
「へっ!?ち、違うよ!」
「いいじゃない。水嶋みたいな幼なじみがいて。どうして好きにならないの?」
麻央は教材片手にあたしに微笑みかける。
「だから!悠宇はそんなんじゃなくて!」
「いいよね〜。大学進学できなくても就職しなくても悠宇くんにお嫁にもらってくれたらおっけーだもんねー。」
・・・お、お嫁!?
桃香はうっとりとした顔であたしを見据えた。
「ちょっ!ちょっと!!何がお嫁よ!話飛び過ぎだから!」
「あー!そっか!美和には彼氏いたもんね!悠宇くんともう一人の幼なじみ!名門サッカーで有名な高校に行ってた彼氏!名前なんだっけ・・・あっ!大崎 元哉だ!」

