伊月はあたしをそっと離した。


「伊月、頑張ってね。……あたしも頑張るよ。」


「風邪ひくんじゃねーぞ。ちゃんと髪乾かしてから寝ろよ」



「わ、わかってるよ〜。」



「……じゃあ。」



そう言ってあたしに背を向け歩き出す伊月。


空港まで行ったらきっと泣いちゃうから。

だけど……今でも涙が溢れ出る。



ふいに、振り返る伊月。


心配させないようにあたしは涙を拭った。



「……美和」



そのときあたしの名を呼ぶ声が……



「俺は、お前より先にしなねーから。」



そう、いつかの笑顔をあたしに見せ手を降って行った。