聞こえてきたのはそんな言葉で。 「ば、バカって……」 でも、そんな言葉でさえ今は嬉しく感じる。 「……伊月は、あたしのこと……好き?」 抱きしめられる力が一層と強くなる。 あたしもそっと腕をまわした。 「……ねぇ?好き?」 「……うるせ」 「あたしは……好きだよ。」 すると、伊月はあたしをそっと離した。 お互いの顔がちゃんと見える。 「伊月のこと、好きだよ。」 あたしは伊月の目を見て、そう言った。 何で言えなかったんだろう。 今ならいくらでも言える。