心地良い春の日差し… まだ、蕾のままの桜… 三年間走り回った校庭 思い出の屋上 教室の独特の香り . . . 黒板には大きく、卒業おめでとうと書かれている。 あの担任が書いたのだと思ったら少し、笑みがこぼれた。 今日、3月9日は卒業式。 そして、あいつの命日でもある────。 「美和ー!もう始まるよ!!」 後ろのドアからニナが顔を出す。 「……うん。今行くー!」