そう、伊月が指す方を見てみればカップルたちがざわざわといて……
“聖夜にキャンドルを灯して永遠を誓いましょう”
そう看板に書いていた。
「ずっと、ガン見してただろ」
「え!?してないしてないよ!!」
ただ、考えごとしてただけだよ。
ガン見してただなんて、あたし……
「ふーん。行くぞ」
「……はひ?」
有無も言わせないかのように伊月は素早くあたしの手をとると、キャンドルのところまで引っ張った。
「ちょ、これカップルの…だよ?それに、永遠なんて……ないよ」
そう言うと、伊月はふっと笑うとあたしの手を離した。
「お前が言うと、説得力あるな」
と、あたしの顔を覗き込んで笑った。
それはすぐ、元のことだと悟った。
「なっ!それは、貶してんの?でも……ないじゃん。永遠なんて。そんな儚い約束したって……悲しいだけでしょ?」
永遠なんて、この世に存在しない。
永遠なんて言葉は綺麗事にしか聞こえない。
何が永遠?たまにそう聞きたくなる。

