「ひ、一人だよ、一人に決まってるじゃん。お母さんも、お姉もいないし……一人でパーティすればいいってやけくそになって買い物いって……」
伊月は何も言わず聞いてくれている。
「悠宇にさっき会ったけど、今みたいに嘘ついた。迷惑かけちゃダメって思ってる裏腹…ほんとは気づいてほしかった。
……嘘でもいいから、来いよって言ってほしかった…慣れてるのが怖いの。このままずっと一人何じゃないかって…怖いの……」
流れる涙はとどまることをしらない。
ここで泣かないって決めたのに……
「……それだけ?」
「……え、?」
伊月はそっと離れるとあたしの涙を一つずつ手で拭った。
そして、伊月はあたしの耳元で優しく囁いた。
「わかったから…もう、泣くな」
いつもと違う掠れた低い君の声はあたしの耳の奥まで届いた。
ドクドク鼓動が高鳴る。
きっと、真っ赤だ。
そして、伊月はそんなあたしの
腕をとって────
「行くぞ」
そう、歩き出したんだ。

