「……でた、俺様。」
「あ?なんか言ったか?」
ボソッと発した言葉は聞こえてないみたいでホッとした。
伊月はあたしの問題集を取り上げるとあたしのわからなさそうな所を重点的に教えてくれた。
「あ、あのさ……さっきの事なんだけど……」
「あ?」
「ご、ごめん。……つ、つい」
走らせるシャーぺを止めた伊月はあたしの顔をまじまじと見詰めた。
「ふーん。反省してんだ?」
いかにもからかうような、挑発的な瞳。
「い、一応……」
「一応?」
「……ぜ、全力で反省して、してまふ!!!」
「ぶっ!おま、お前焦ると日本語も喋れねーのかよ。」
ははっと声をあげて笑う伊月に怒りが込み上げるのに怒ろうとは思わなかった。
ただ、単純に伊月の笑顔が見れてよかった……とか思っている自分がいた。

