「家ではいつも一人。お父さんは海外。お母さんも仕事。お姉は大学。朝も、昼も夜も一人。でも辛くなかったのは悠宇がいたから。…だからもう迷惑かけたくなかったの。」


あたしは俯いた。


「俺には、俺の前だけは無理すんなよ……。いつでも迷惑かけろ。」


そこには優しい悠宇の笑顔。


「悠宇……ありがと。ご、ごめんね。こんなときに……女の子泣いてたし追いかけなくてよかったの?」


「あぁ。いいんだ。」


「悠宇って好きな子いたんだね。知らなかった。悠宇なら理想高そう。」


「言わなかっただけ。まぁ、そいつには全然気持ち伝わってないけどな。」


悠宇は愛おしそうに目を細めた。


「いつか気持ち伝わるといいね!あたし応援してる!悠宇部活だよね。じゃあね!」


「おう。気をつけろよ。」



このときあたしは何もわかっていなかった。