「伊月に話聞きました。お兄さんがいたって。あたしも大切な人亡くしてしまって……あたしだけが辛いと思ってました。でもそれは間違ってて……伊月に酷いこと散々言いました。」
亜矢子お姉さんはて辛かったねってあたしの背中をさすった。
「きっと同じ心境の美和ちゃんをほおっておけなかったんだよ。兄が亡くなったことともは自分のせいだと思ってる。ずっと自分を攻め続けてた。今でも。」
亜矢子お姉さんはお茶を飲んで続けた。
「兄が継ぐはずだった病院もあの子が継ぐことになった。ほんとはあたしが継がないといけなかったのにあたしには夢があって…ともに押し付けた。
元々賢い子だったから問題ないと思ってたけどそうじゃなかった。ずっと、ずっと苦しんでた。兄の死と親のプレッシャー。あたしは何もしてあげること出来なかった。
でも、ともは変わったの。前より笑うようになったし会話も増えた。それは…美和ちゃんに出逢ったからだと思う。」
長々と言い終えた亜矢子お姉さんは少し涙目だった。
「とものこと、これからもよろしくね。」
ふわっとした微笑みをあたしに向けた。
そんなお姉さんの涙を見たあたしは頷くしかなかった。
「何話してたんだよ。」
ちょうどお風呂からあがった伊月が濡れたままの髪でリビングにやってきた。
その姿に少しドキドキしている自分がいた。
「えへ、何話してたか聞きたい?」
そのときにはお姉さんは涙を拭いていた
。

