涙が出るくらい嬉しかった。

あたしがしたことで、誰かが元気になるってこんなに嬉しいことなんだって。



あたしはふと、隣に座っている伊月を見ると気持ち良さそうに眠っていた。


「……子供みたい。」

なんて、思わず口にしていた。


伊月の顔つきは始業式から確かに変わった。
もう、冷血なんかじゃないよ。


君はムスッとした顔より、笑顔の方が何倍も似合うよ。


窓から見た空に浮かぶ月はいつもよりも増して美しく見えた。





ーーーーー君のキラキラした眩しい笑顔を見た瞬間あたしの中で何かが変わった。

このとき、あたしは知らなかった。


あたしの中で君の存在がこんなに大きくなることを。