「決まってんだろ、行くぞ。」
ぶっきらぼうにそう言った伊月はあたしの腕を掴んだ。
「え?決まってるって……」
「は?お前バカか?……空港に決まってるだろ。」
「……え、行ってくれるの?」
伊月は、ああと一言そうつぶやくように言った。
そんな伊月に気持ちが届いたあたしは嬉しくてたまらなかった。
バス停まで来たあたしたち。
バスは通るも、空港行きは中々来ない。
「おい、これバス来んのか?」
「え?来るはずだよ。だってまだ17時30分だし……」
「お前、時計も読めねーのかよ。18時20分だそ。」
…………え!?
「え!?うそ……」
あたしは腕時計を慌てて見ると時間が17時30分で止まっていた。
「……もう、バスないよー!!空港まで一時間はかかるんだよ?どうするの?歩くの?え?」
そんな慌てふためいているあたしに呆れ返った伊月。
そんな伊月は道路に向かって手を挙げた。

