「俺の力になりたいならもうほっといてくれ。」
そう冷たくあたしに言い放った。
でも、どうしても最後に香穂ちゃんに会ってほしい。
あのときの潤んだ彼女の瞳を思い出せばそう思わずにはいられない。
「この世からいなくなった人ともう二度と逢えないかもしれない人って何が違うの?」
あたしの言葉に動きを止めた伊月。
「多分、同じだよね。あたしはこの世からいなくなった人を想い続けてるからわかるの。……またここで君に逢えたら……って。」
伊月は背を向けたまま。
でも、あたしは続ける。
「もう、どんなに逢いたくても、どんなに後悔しても……もう逢えないんだよ?……このままでいいの?まだ、好きなんじゃないの?」
すると、伊月はボールを抱えて部室に消えたと思ったら適当に放ったらかしにした鞄を地面からひったくった。
「……どこ行くの……?」

