背後からする声に反射的に振り返った。
「……伊月、どうしてここに……彼女さんと一緒だったんじゃ……」
そこまで言ってあたしは手で口を抑えた。
あー、墓穴掘ってしまった。
伊月は慌てているあたしを見て少し呆れながら笑った。
その笑顔が少しだけ嬉しかったりする。
「やっぱり、お前かよ。この前の仮入部といい、やっぱりストーカーじゃねーか。」
「ちっ!違うから!今回はたまたま…」
伊月はいつもの特等席のベンチに腰をかけた。
何も言わずただ、夕日の向こう……遠くを見つめる伊月。
その瞳はすごく悲しそうに見えた。
「あ、あの……ずっと言わなきゃって思ってて……」
伊月の目線があたしに変わる。
「あの……ありがとう。泳げないあたしを助けてくれて、どうしようもないあたしを助けてくれて……ありがとう。」

