あたしは慌てて電信柱の影に隠れた。
仲良さそうに楽しく会話をする男女二人。
それは、まぎれもなく伊月とその彼女で。
あたしは電信柱の影から動けなかった。
あぁ、そうだ。
コイツにはこんな可愛い彼女がいるんじゃん。
あたしがお礼言ったところでだよね。
伊月とその彼女はあたしの帰り道を歩いている。
遠回りして行くか……なんて思ったけど、別につけているわけじゃないし。
バレないようにそぉーっと後ろを歩くことにした。
(って、これがつけてるって言うんじゃない?)
もう一人のあたしはそう言っているようだけどあたしはやめなかった。

