どうしよ、あたし。
どうしよ……あたし伊月に酷いこと言っちゃったよ。
『大切な人をなくしたあたしの気持ちなんてあんたにはわかんないよ!楽しく、のうのうと生きてる悩みのないあんたなんかには!』
気づけば歩き出していた伊月の手を握りしめていた。
驚いて振り返る伊月。
「あたしっ、あたし。何もあんたのことわかってなかった。……ごめんなさい。」
「話はそれだけだったんじゃねーの?」
伊月は冷ややかな目線をあたしに送った。そしてまた歩き出した。
「あっ、待って。もう一つ。………どうして、あたしを抱きしめたりしたの?」
伊月はあたしの質問に答えることなく去って行った。
『伊月くんが溺れた美和をギューって抱きしめてたよ!』
『……えぇ!?……嘘でしょ?』
なぜかあたしにはさっぱりわからない。
お兄さんが水難事故に遭ったから?
だから、溺れた人とかをほっとけない。
そういうこと……かな、

