「そ、それは……あんたに話があったから。」
「ふーん。何?」
冷血王子はぶっきらぼうにもそう言った。
「ど、どうして……どうして、あたしを助けた、の?」
あたしの言葉に冷血王子は少し動揺したみたいだった。
「話ってそれだけ?」
「……え、うん。そうだけど。」
すると、少しの間があったあとに冷血王子はこう言った。
「俺の兄貴、水難事故で死んだ。だから、海に落ちるお前見てたら勝手に身体が動いてた……以上。」
冷血王子の発言にあたしは何も言えなかった。
『泣いたところで、叫んだところであんたの大切な人は戻ってくんの?』
『大切な人をなくして悩んでいるヤツなんてこの世界にはいっぱいいるんだよ。悩んで苦しんで……人間みんなそうなんだよ。』
『一人じゃねーんだよ。みんな、悩みを抱えながらも笑って生きてんだよ。
それだけは、忘れんな。』
これは全部冷血王子のこと………?

