「ねぇ!蒼井さん!もうすぐ引退試合だけど陸上部入らない?蒼井さんの持久走速いから〜。ね?どう?」
陸上部の顧問はやたらとあたしに勧誘する。
まぁ、あたしが体験入部したいなんて言うからか。
でも、今日は部活の終わる最終下校まで待つと決めているから仕方が無い。
隣でサッカーボールを蹴るアイツのキラキラした顔。
あたしには、いやみんなには見せないんだろう。
「ねぇ、蒼井さん!入ってよ!ね? それと、どうして体験入部したかったのか教えてくれるかな?」
ギクっーーーーー
『伊月くんを待ってるためにちょうどよかったので暇潰しさせてもらいました。』
なんて、言えない。不純な動機で体験入部したなんて言えない。
「えっと……それはですね〜」
言い訳をしようとしたとき丁度サッカー部が終わっり部員はぞろぞろと返ってゆく。
「た、ただの体力測定です!ではっ!!」
顧問の呼びかけを無視してあたしは鞄を肩にかけアイツを追いかけた。

