この声はおねえ?

意識が朦朧とした中であたしはおねえの声を聞いた。


真っ暗だった視界が次第に明るくなり心配したおねえとお母さんの顔がすぐ真上にあった。


「美和っ!大丈夫?どこか痛くない?」

お母さんはあたしの肩を揺さぶった。


「美和あんた海に落ちたんだって!?もう、悠宇くんが助けてくれなかったらあんた死んでたよ?」


おねえは少し目を赤くしてそう言った。

なんだよ、おねえ。

いつもあたしのこと邪険にするくせに心配してくれてたの?

そう思うと少し、ほころんだ。



海に落ちたところまで覚えてるけど、悠宇が助けてくれたなんて覚えてない。


ただ、誰かに抱きしめられてたような気がした。

でも、それが誰かなのはわからない。

悠宇、だったのかな?