場所はファミレス。机の上には頼んだばかりのネギ玉牛丼と、空(から)の丼が十杯。隣りと斜め前には友人という名の変態が2人。
「宇宙人いると思うか?」
 氏神社(うじがみやしろ)が激辛カレーを頬張りながら、そんなことを問い掛けてきた。
 私は社の何時もの如くの珍問を聞き流し、十一杯目のネギ玉牛丼をかき込んでいく。ネギと牛肉のハーモニーが最高で、抜群に美味い。ファミレスの域を完全に凌駕している、至高の逸品である。
「いるよ」
 いつも舌足らずな潮勇魚(うしろいさな)らしからぬ、力強い断言に私は驚き、思わずネギ玉牛丼を吹き出してしまった。その残骸が社の顔に張りつくのに気付いていたけれど、私は視線を勇魚へと向ける。
「ほほぉ」
 感心した様子で呟き、社は数度首を縦に振る。
「だって、私が宇宙人だもん」
 勇魚はいつもの舌足らずな口調で、トンデモ発言をした。