「美優……」
隼斗は目を開き、驚いたようにあたしを見る。
そして、
「俺の彼女に手を出さないでください」
静かに言葉を発する。
だが、その言葉には得体の知れない恐ろしさが漂っていた。
二人の男も一瞬口をつぐんだ。
だが……
「がはははははは!」
馬鹿笑いを始める二人。
耳障りにもほどがある。
「俺の彼女?
……そうか、兄チャンの彼女か」
リーゼントが隼斗に近寄り、わざとらしく肩を組む。
それでも隼斗はびくともしない。
ヤバイよ、隼斗。
この人たちは、きっと不良とは訳が違う。
「逃げて……」
あたしの掠れた声は、不気味な静寂に包まれたこの場所に響き渡った。
「隼斗……逃げ……」



