「美優って人を見る目がねぇよな」
「何それ、失礼な」
頬をぷーっと膨らますと、淳ちゃんは少し笑いながらあたしの頬を掴む。
ごつごつしてて、大きくて、久しぶりの淳ちゃんの手ににやける。
「こんな可愛いのに。
悪い男にころっと騙されてよぉ……」
何だか淳ちゃんは苦しそうで。
「どうして隼斗が悪い男なの?」
そう言ったあたしを見て、淳ちゃんは再び苦笑いをした。
「そうだよな。
美優はあいつに会ったことがなかった」
ううん、実はあるよ、一回だけ。
淳ちゃんが女の人を連れていた、あの悪夢のような日。
だけどそれは言わない。
……言えない。
だってあたしが神木を止めなかったから淳ちゃんは……



