どれくらい走っただろう。
運動なんてしていなかったあたしの足がもつれ、バランスを失う。
そしてそのまま視界が回り、次の瞬間地面に倒れこんでいた。
膝と手にに痛みが走り、土埃が舞った。
「いたたた……」
思わず声に出してしまうと、
「悪い、美優。大丈夫か?」
あたしを心配してくれる淳ちゃんの声。
汚れたあたしの身体をはたき、擦り傷に絆創膏を貼ってくれた。
やっぱり淳ちゃんはあの頃のままだった。
心がじんわり熱くなり、そしてきゅうっと痛む。
淳ちゃんはこんなにあたしに優しいのに……
だけど、あたしは淳ちゃんの一番にはなれなかった。



