「もういい!
次、昼メシだろ?
美優、来い!!」
淳ちゃんはそう怒鳴るなりあたしの手を掴み、無理矢理教室を出た。
いつものパターンだ。
高校の時も、数えきれないほどこうやって、あたしは淳ちゃんに拉致された。
それを当時は嬉しく思ったが、今は複雑な思いだった。
淳ちゃんは、あの頃から何も変わっていない。
まっすぐで、熱血で、正義感溢れていて。
あたしはそんな淳ちゃんにどこまでもついていくつもりだった。
なのに……
あたしの脳裏を過った隼斗の顔。
演技かもしれない、わざとかもしれないが、あたしを大切に大切にしてくれた。
そんな隼斗が神木だということを、あたしの心の中が否定していたのかもしれない。
だって……
動き出した恋心は、もう止められないから。



