一見普通のやり取りなのに。
なのに、隼斗のことが気になって仕方がない。
いつ本性が見えるのかな。
翼がちょっかいを出すたびヒヤヒヤしたが、隼斗は穏やかな隼斗でしかなかった。
隼斗の徹底ぶりは凄い。
翼は、隼斗を真面目でいい人だと信じて疑わないだろう。
後で気付いたことだが、この授業は一般教養科目といって、全学部共通の授業で。
一年生の間は、このような教養科目が大部分を占めているのだ。
だから、これ以外にも隼斗と顔を合わせる機会があるかもしれない。
そう考えると、何だか複雑な気持ちだった。
あの一件さえなければ、あたしの中で隼斗は理想の彼氏だった。
ただの高嶺の花だった。
何も知らなければ、こんな複雑な気持ちにはならなかった。