それに、ここに翼がいるってことは……
「あっ、隼斗!
こっちこっち」
嫌な予感が的中した。
翼は教室に入ってきた隼斗を、大声で呼び出したのだ。
隼斗は相変わらず穏やかな顔をしていて。
あたしを見ると、にこっと嬉しそうに笑う。
一気に鼓動が速くなり、顔が熱くなる。
それと同時に、微かに身体が震えていた。
もう、関わりたくないと思ったのに。
お互い知らないふりをしているのが一番だと思ったのに。
今はいい人を演じていても、いつかは化けの皮が剥がれる。
あの淳ちゃんさえ怯えさせる、恐ろしい悪魔に変身するのだろう。



