だが、淳ちゃんの口から零れたその言葉に、あたしの血の気がさーっと引いた。
「ふざけんな、神木!!」
は……?
淳ちゃん、今何て言った?
「てめえだけには、美優はやらねぇ!」
「どうかな」
「美優がてめえの本性を知ったら……」
聞きたくない。
もう何も聞きたくない!
あたしは耳を押さえて駆け出していた。
何がなんだか分からない。
隼斗が神木で、淳ちゃんを大怪我させた人?
一回だけあたしの前に立ちはだかり、冷めた視線で睨みつけた人?
隼斗の苗字、橘だったよね?
信じられない。
信じられないけど……
あの二人の唯ならぬ様子を見て、隼斗を神木と認めざるを得なかった。
せっかく歩きだした恋だったのに。
あたしのこの恋は、淳ちゃんの時みたいに散ってしまうの?



