視界のずっと向こうには、聳え立つビル群。

おそらくそこが都心だろう。

そこからしばらくは家々が重なり、そして緑が増えてくる。

目下は一面の緑、そして所々に見える春の花々。

まさしく、雄大な自然とビルのパノラマだった。




こんな景色を見ると、何だか自分の悩みもちっぽけなもののように思えてきて。

前向きになろう。

清々しい気持ちで満たされていた。






ふと、右の端を見る。

そこには小さなビルが連なっていて……




「あそこって、まさか……」



あたしの言葉は、



「美優!?」



あたしの名を呼ぶ新しい声に掻き消された。