頭の中は、完全にピンク色に染まっていた。
やっと、新たな恋に踏み切れた気がした。
隼斗が優しくあたしの手を引いて、緑の生い茂った階段を上る。
鼓動は最高潮を迎え、地面に足を着いているのが精一杯だ。
そんなふわふわしたあたしのペースを考えて、ゆっくりゆっくり階段を上ってくれる隼斗。
その優しさは半端ない。
「ねぇ、美優。
俺、高校の時から一人でよくここに来てた。
俺も色々悩んでいたから」
「え…?」
「だけどね、この景色を見ると、何だか心が落ち着くんだ」
隼斗がそう言った時、目を覆うように生い茂っていた木々が急になくなり視界が開ける。
隠れていた太陽の光が、さんさんと降り注いでくる。
そして、目前に広がったその景色を見て、あたしは声にならないため息を漏らしていた。