もっと後ろに乗っていたい。
隼斗の温かさに身を寄せたい。
そんな思いを振り切るように顔を上げ、隼斗から身体を話した。
「疲れたよね、美優」
そう言ってヘルメットを取る隼斗。
流れ落ちたさらさらの髪を、太陽の光が明るく照らした。
そのままあたしを見て目を細める隼斗。
芸能人みたいにキラキラオーラに溢れている。
あたしは言葉を発するのも忘れ、隼斗を見つめていた。
「ずるいよね、隼斗」
ぽつりと言ったあたしに、
「え?」
やっぱり聞き返してくる隼斗。
隼斗は気付いていないのだろう。
自分の魅力に。
「隼斗はイケメンだし、優しいし」
隼斗はまじまじとあたしを見る。
驚いたように少し開いた目に、あどけない口元。
ほら、そういうのが駄目なんだって。
隼斗がそんなに完璧だから……
「あたしとつり合うわけないじゃん」
またまた下向きな本音を発していた。



