ビルの間を通り抜け、大きな交差点を通過して、バイクはゆっくりと目的地に向かっていた。 あたしたちを囲むビルは次第に低くなり、緑が多くなってくる。 いつの間にか道路は一車線になって、さらに山道みたいな道に入っていく。 もはやここがどこか、東京なのかさえも分からないのだった。 その間もあたしは隼斗にしがみつき、その温かさに酔っていた。 そして…… 「着いたよ」 そう言ってとうとう隼斗が地面に足を着いた。