もちろん、隼斗は電車やバスで行くのだろうと思っていた。 なのに、階段の先に停まっていたのは黒いバイク。 思わず固まってしまうあたしの横で、 「維持費が高いから、車はちょっとね」 気まずそうに言う隼斗。 確かに隼斗の言ってることは正しいけど…… でも、よりによってバイクなんて。 また淳ちゃんを思い出してしまうじゃん。 複雑な気持ちでいっぱいだった。 「大丈夫。 絶対怪我させないから」 隼斗はそう言って、ヘルメットを差し出す。 ほんのりと隼斗のいい香りがした。