気まずい沈黙が部屋に流れる。
隼人はそれをものともせず、ただ教科書を見ていて。
先に折れたのは、不貞腐れたようにそっぽを向いた斉藤先輩だった。
「何であんなことした?」
「あァ?」
何だか恐ろしい返事をする隼人。
普段の優しい隼人からは想像出来ない。
斉藤先輩は半ば怯えるように隼人を見て、再び口を開いた。
「何で城内を庇って刺された?
……何で相手に手を上げなかった?
てめぇなら、余裕で倒せるだろ」
隼人は教科書を起き、ゆっくりと顔を上げる。
相変わらず綺麗なその顔は、少しだけ満足そうに歪んでいて。
「知らねぇの?」
低い声で静かに告げる。
「城内は、俺の命の恩人だ」



