言葉が出ない。 彼のこんな姿、想像したことがなかった。 いつも余裕で笑っている、正義の味方だった。 嘘だよね。 また、きっと冗談やってるんだ。 そう思うのに頬を涙が伝う。 あたしは気付いたら彼に駆け寄っていて、その真っ赤な身体を抱えていた。 「くそっ……なんでだよ」 淳ちゃんが拳を握りしめて立っていて。 「なんでそんなことすんだよ!!」 顔をくしゃくしゃにして、床に倒れた隼人にしがみついていた。