慌ててバーに駆けつけるあたし。 鼓動が止まりそうなほど速い。 開け放たれたドアから中に入り、暗い店内を見回す。 目が暗闇に慣れてくるにつれ、店の真ん中に立つ人の姿が浮かび上がる。 白いシャツは赤く染まり、 だらんと垂れた腕からは、血が滴り落ちていた。 「……よかった」 彼は小さくそう呟き…… 崩れるように地面に倒れた。