何となく着替えて階段を降り、外に出る。
庭も淳ちゃんの家も、道路も、全てあの頃のまま。
だけど、少しずつそれらも時を刻み変わっていた。
「あら、美優ちゃんも帰っていたの」
あたしの姿に気付いた淳ちゃんのお母さんが、庭からあたしに声をかける。
淳ちゃんよりもずっと優しげな顔をしているが、その口角の上がった口元は淳ちゃんそのものだ。
「はい。お祭りだったので」
そう答えると、淳ちゃんのお母さんは困った顔をする。
「淳もこっちにいるはずだけど、家にはいなくて。
また誰かに迷惑をかけていないといいけど」
どうやら淳ちゃんに対する心配は尽きないらしい。
あたしは、ははっと笑うことしか出来なかった。



